古都ダマスカスとは?:世界最古の継続的に人が住む都市
世界遺産に登録された理由
古都ダマスカス(Damascus, دمشق) は、シリアの首都であり、紀元前3000年頃から人が住み続けている世界最古の都市の一つ です。その歴史的・文化的重要性から、1979年にユネスコ世界遺産 に登録されました。
世界遺産登録の理由
- 7000年以上続く歴史:古代アラム人、ローマ帝国、ビザンツ帝国、イスラム帝国など、数々の文明が支配してきた都市。
- イスラム建築の傑作:「ウマイヤド・モスク」をはじめとする壮麗な建築が残る。
- 文化の交差点:イスラム、キリスト教、ユダヤ教が共存し、シルクロードの交易拠点として繁栄した。
7000年以上続く歴史と文明の交差点
- 紀元前3000年頃:アラム人が都市を築き、灌漑システムを開発。
- 紀元前1世紀:ローマ帝国の支配下に入り、大都市へ発展。
- 7世紀:イスラム帝国のウマイヤ朝(661~750年)の首都となり、黄金時代を迎える。
- オスマン帝国時代(1516~1918年):イスラム文化とオリエンタルな街並みが完成。
ダマスカスは、歴史の中で幾度となく支配者が変わる中で、常に文化と交易の中心地であり続けた都市 なのです。
イスラム文化とキリスト教文化が共存する街
- イスラム文化:ウマイヤド・モスクを中心に、数多くのモスクやマドラサ(イスラム学院)が点在。
- キリスト教文化:聖パウロの改宗の地があり、今も多くの教会が残る。
- ユダヤ文化:かつて大きなユダヤ人コミュニティがあり、シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)も存在した。
このように、ダマスカスは異なる宗教と文化が共存する特別な都市 なのです。
古都ダマスカスの見どころ
イスラム建築の最高傑作「ウマイヤド・モスク」
ウマイヤド・モスク(Umayyad Mosque, الجامع الأموي) は、世界最古のイスラム建築の一つであり、ダマスカス最大の観光名所です。
- 建設:705年(ウマイヤ朝の時代)
- 特徴:巨大な中庭とモザイク装飾
- 重要性:イスラム教の預言者ヨハネ(洗礼者ヨハネ)の墓がある
このモスクは、かつてローマ時代の神殿であり、その後キリスト教の教会として使われ、イスラム支配後にモスクへと改築されました。そのため、キリスト教とイスラム教の両方の要素が残る貴重な建築 となっています。
キリスト教の聖地「聖パウロの改宗の地」
ダマスカスは、キリスト教の重要な聖地でもあります。
- 聖パウロがイエス・キリストの啓示を受け、キリスト教へ改宗した場所がある。
- 聖パウロの門(Bab Kisan) は、彼が逃亡したとされる場所として知られている。
- キリスト教徒地区には多くの教会があり、今も信仰が息づいている。
迷路のような「スーク(市場)」と職人街
ダマスカスの旧市街には、数世紀にわたる歴史を誇るスーク(市場) が広がっています。
- スーク・ハミディーエ(Souq al-Hamidiyeh):アーチ型の屋根が特徴の市場で、香辛料、織物、金細工などが並ぶ。
- ダマスカス鋼の刀剣職人:かつて世界最高品質の剣を生産した職人たちの伝統が残る。
- アラビアンコーヒーと水たばこ(シーシャ) を楽しめる伝統的なカフェが点在。
ダマスカスの未来と遺産保護
内戦と文化遺産の破壊
近年、シリア内戦によってダマスカスの歴史的建造物の多くが被害を受けました。
- モスクや市場が爆撃され、一部が崩壊。
- 貴重な遺跡が略奪され、違法取引に出回る。
- 住民の避難により、文化の継承が困難に。
ユネスコと国際社会の保護活動
- ユネスコは「危機遺産リスト」に登録(2013年)し、遺跡の保護と復興を支援。
- 修復プロジェクト:ウマイヤド・モスクをはじめ、一部の建造物の修復が進められている。
未来へ残すための課題と復興への道
- 平和の回復:政治的安定がなければ、文化遺産の本格的な修復は難しい。
- 観光業の復活:かつて世界中から訪問者があったが、安全が確保されるまで回復は難航。
- 地元住民の協力:ダマスカスの文化を守るため、地元コミュニティと連携が不可欠。
まとめ
ダマスカスは、7000年の歴史を持つ世界最古の都市 であり、イスラム・キリスト教・ユダヤ教が共存してきた文化の交差点 です。
現在は内戦の影響で困難な状況にありますが、平和が戻れば再び世界中の人々が訪れ、歴史と文化を体感できる都市になるでしょう。
「古都ダマスカス」——歴史と文明が交差する、世界最古の都市を未来へ。